金色のソナタ 音楽商業主義の内幕 クラウス・ウムバッハ 音楽之友社 定価 ¥2800 タイトルからもうかがえるように、クラシック音楽業界の生臭い話が満載! 華やかな表舞台の裏側で演じられる、演出なしのドラマ! 冒頭の章「札束となる音符」で、著者は格調高いレトリックを駆使しながら語りかける。 例えば、次のようなパラグラフで、…… ”クラシック音楽の響きはいまでもやはり、長3度と完全5度、夢に没入したカンティレーナや荘厳に構成された対位法によっている。その響きはバッハのフーガのように立派そうに響き、モーツァルトの《魔笛》のように感動的であり、ヴァーグナーの《トリスタン》のように官能的である。この《トリスタン》はセックスを暗示する半音階によって、下半身に及ぶ淫ら極まりない効果をあげる。“ という具合に、辛味のきいた皮肉まじりに、あくまでも格調高く(?!)淡々と。……… “たとえば、もうろくしたピアノの巨匠ウラジーミル・ホロヴィッツはもうとっくの昔によぼよぼで、おそらく善し悪しも、真面目も馬鹿げたことも飛び越えてしまって、よくしばしばしつけの悪い少年のように子供じみた振舞をし、しかめっ面を作って見せたり、敬礼をして見せたりする。彼のこうした馬鹿げた振舞は、マルチメディアによってこの老人を世の中に広める中で、まさに有名人のトレードマークとなる。そして、それは慎みなく観覧に供され、明らかにふざけてはいるが販売を促進するイメージを育む確たる要素となった。” この老人以外にも、若いほうではポゴレリッチやムター、奇人変人グルダ、主役はカラヤン、裏で「指揮者を指揮する男」ロナルド・A・ウィルフォード、「カラヤンの遺産相続人」レヴァイン、バーンスタイン、ロストロポーヴィチ、カレーラス、パヴァロッティ、…………。が登場します。 ……、これは決して単なる暴露本として読まれてはならず、そこには我々にこの華やかな現代の音楽文化をもっと厳粛に反省させる意図が込められている。……、一見すると産業化された音楽と音楽家への批判がその主眼のように読めるが、むしろ売買取引の対象とされてしまった音楽と、その市場で踊らされる音楽家への限りない愛が逆説的な形で語られている。…… 〈訳者あとがき より〉 ほぼ美品
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